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「イベント企画・運営者(その5分の1)の独り言」〜その4
更に前回の続き・・・
私は再三、ライヴハウスのノルマ制がどうこう言ってはいるけど、それが支払えない程の大金ではない事も確か。4バンド以上出演してバンド・メンバーが3〜4人居れば、それを頭割りしたものを一人一人が支払えば良いのだし。それに、実際いくらか動員もあればその金額だって軽減される訳だしね。
ただやっぱ、これはもちろん自己顕示欲みたいなものでもあるんだけど、真っ当な活動をしている作家もしくは表現者であれば、自分の作品なり表現行為の真価なり存在意義の是非を誤解や紛れのない状態で世に問いたくなるのが性ってもんで、そうなるとワンマン・ライヴをやる(目指す)以外に術はなくなるはずなんだよね。
ところがどっこい、それこそが“地獄の入口”。そこから本当の意味での“茨の道”が始まるって訳。
そりゃまあ、明らかに現在流行してるポピュラーな音楽や、ミーハー受け狙いの出し物演ってんなら話は別だけどさ。
・・・とまあ、それは置いといて。
私の世代でも流石に本当の所はちょっと解りかねるけど、ライヴハウスってのは当初やっぱ、現在主流となってる様な貸しホール的なものではなくて、ただ純粋に、良い音楽を提供する事で人を集め、それによって利益を得る商売だったと思うんだよね。
それで、レコード会社や音楽事務所から、まだホール・クラスでコンサートの出来ないアーティストのブッキングもあったろうけど、店の方から営業して出演者を探したり、あるいは一般からも出演者を募ってたんだと思うのよ。
そうすると、レコード会社なり音楽事務所がバックについてるアーティストは別として、店側から是非出て欲しいってアーティストには客の入りに関係なくギャラさえ出したろうし、一般からの出演希望者であればその音楽なり企画をちゃんと吟味して、それがたくさんのお客サンを動員出来るものなのかって事ももちろんなんだけど、最終的にはやっぱ自分の価値観や店のカラー等に合うかどうか?って事で決定してたと思う訳。
・・・で何が言いたいかと言えば、その店に出演しているアーティストは、その店が自信を持ってお客様にお薦め出来る内容であるはずであり、そうあるべきなんだって事なのよ。
つまり、ある意味ライヴハウスも出演アーティストと同様に、自分の作品や演奏を聴衆に聴かせる事によってその存在価値なり存在意義を問われる立場であるべきな訳。
だから、実際に動員が少なければ次はもっと人を集められる様にするにはどうすれば良いかって事を、出演者だけでなく店の主人や従業員も一緒になって頭をひねったりしてね。
要するに、お客サンが来ないって事は、出演アーティストだけにその責任がある訳ではなく、そんなアーティストを選んで出演させている店にも大いに責任があるって事。
過去にも述べた、「いい加減な食材を仕入れ、不味い料理を出し続ける店は、さっさと潰れるべきなのだ。」ってのはそう言う意味なのよ。
最近は店を壊したり汚したりさえしなけりゃ企画や演目の内容や質も問わないってな店が多くなって、出演者はどんな酷い演奏をしようがどんなに動員が少なかろうがノルマさえ支払えば済む訳で、このノルマ制ってやつを導入したお陰で、ライヴハウスはそれなりの立地できちんとした設備を揃えて、お客サン(←この場合、出演者の事ね)のご機嫌さえ取ってれば経営が成り立つ訳だから、その店固有の確固たる価値観なんぞなくとも音楽の良し悪しなんか解らなくとも、ましてや出演アーティストの将来を憂う必要もないって訳だけど・・・。
しかるに、私が考える理想のライヴハウスの在り方としてまず第一に重要なのは、「アーティストなりミュージシャン、すなわち出演者の存在なくしてライヴハウスの存在も経営も有り得ない」・・・って事。
よって、ライヴハウスは出演アーティストの活動をサポートする事を最大の目的とし、そうする事によって相互に利益を得て共存共栄を図るべきなのだ・・・と。
だってさ、考えても見てよ。バンドやってる人は日々曲作りに悩み苦しみ、練習スタジオでリハーサルに汗を流し、それで頑張ってライヴハウスにも出演し続けたけど、生活が立ち行かなくなったメンバーが実家の仕事を継ぐために脱退したりして、そんなこんなで結局バンド自体も解散してしまって他のメンバーも結局音楽をやめる事になったりして・・・。とまあそれも本人に音楽を続ける覚悟がないせいだと言ってしまえばそれまでだけど、その人に何ら金銭的援助もせずして明日の保障すらない音楽生活を続けさせる事はあまりにも無責任な“夢の押し付け”に過ぎないしね。
私も裏方としてこの世界に関わる以前は、「何で自分の好きなミュージシャンに限ってバンドを解散したり音楽をやめてしまうんだろう・・・」なんて甘っちょろい事考えてたけど、その殆どの理由が「このままバンドやっててもメシが喰える訳じゃないし・・・」ってのが真相みたいよ。
だけど、そんなギリギリの所で頑張ってるアーティストを支援すべき立場であるはずのライヴハウスは?と言えば、また次の夢多き若者を喰い物(・・・って、言葉悪過ぎ!!)にしつつ、ノルマ制によって安定(←こんだけ店が増えりゃ、そうでもなかろうが)した経営を約束されてる訳なのである。
“動員数”と言う価値基準だけでなく、この地球上で存在意義のある本当に素晴らしい音楽をクリエイトしているミュージシャンには、例えそれが私の好みや価値観とは相容れなくとも、ずっと音楽を続けていって欲しい。そして繰り返しになるが、ライヴハウスはそれをサポートする立場であるべきである・・・と言うのが、私の揺るぎない考えでありマス。
それでは次回、あくまでも現実を踏まえた上での、理想的なライヴハウスのあるべき姿を、具体的に語るとしましょう。
(つづく)
その5
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